材料物性の研究室で、なぜクルマ?  〜 出口を見すえた材料開発 〜

 

中学や高校の社会科で習ったとおり、日本は資源が乏しい加工貿易の国です。海外から輸入した鉄鉱石や石炭などの原材料を自動車などに加工し、海外に輸出して外貨を得て、食料などの必要な物資を調達しています。他の国で作れない高性能な工業製品を作る技術力が我が国の生命線です。

自動車で最も多く使われている材料は鉄鋼です。我が国には優れた鉄鋼材料があるから良い自動車を作れます(石油パイプラインや大型船舶、高層建築用の鉄鋼も世界的に評価が高い)。それで、古谷野研究室の学生さんには、クルマやバイクなどがどのような形状の部品で成り立ち、それらはどのように機能しているか。そして、どのような組成や組織、表面処理の材料が使われているかを実際に見ておいて欲しいと考えています。そうすることで、金属学や鉄鋼学の教科書に出てくる相変態や組織制御が、製品でどのように役立つか理解できるからです。外観や走行性能だけではなく、クルマやバイクには鉄鋼学を勉強すると初めて味わえる面白さがあります。自動車やバイクは視野を広く鉄鋼や金属を学ぶための優れた教材です。

 

古谷野研は装置を自作する、あるいは必要に応じて改造する技術力を看板にしていますから、クルマ、バイク、自転車、天体望遠鏡、鳥人間その他の趣味を通じて覚えた<技>は研究を進める上で大きな力になります。